「水は異なもの味なもの」 第19回 硬水と軟水
今回は、「硬水と軟水」についてお伝えします。
水道水の水質は、国や地域により大きく異なります。
そのなかに含まれる成分、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、
マグネシウムイオンなどの量は、地域によって異なるからです。
ヨーロッパ諸国の水道水にはカルシウムイオンが多く含まれることがよくあります。
一方、わが国の水道水はカルシウムイオンが少ない水です。ただし沖縄は例外で、
カルシウムイオンが比較的多く含まれます。
硬水とはカルシウムイオンやマグネシウムイオンを多量に含んでいる水のことをいい、
軟水というのは、逆にそれらのイオンが少ない水のことをいいます。
日本に住む多くの人にとって身近な硬水は、
市販の一部のミネラルウォーターではないでしょうか。
以前にこのブログでご紹介したように、カルシウムなどのミネラルが適度に
含まれている水はおいしく感じます。
しかし、度が過ぎると逆に味を悪くするばかりでなく、日常的な用途で困ったことが起きます。
カルシウムが多量に含まれていると、石鹸の泡立ちを悪くさせるのです。
硬水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンは、
石鹸の主成分である脂肪酸と結合して、水に溶けない沈殿物を作ります。
この作用が、石鹸の泡立ちを悪くする原因です。
料理においては、煮込み料理や米の炊飯などに軟水が向いているといわれる一方、
硬水で肉の煮込み料理を作ると肉を硬くする 一部のたんぱく質がカルシウムと結合して、
あくとして取り除かれ、肉のにおいがとれる特色があるといわれています。
普段使用する水が、文化の発展の違いを生み出す原因のひとつとなるのはとても面白いですね。
次回はなぜ硬水と軟水の違いが生まれるのかについて、お話しします。