「水は異なもの味なもの」第9回 宇宙に行ったコイ(2)
前回挙げたコイが現地(宇宙センター)の水道水になじめなかったという問題点から、
現地でも弥富の水でコイを飼育できないか、と考えました。
しかしこの方法では、大量の水を空輸する必要があり、コストがかかります。
そのため、弥富の水を逆浸透膜(RO膜)により濃縮することで
重量を少なくして空輸し、現地で純水を加えて元の弥富の水に戻すこととしました。
逆浸透膜は、水分子だけを透過させることができる膜に圧力をかけて通水し、
水の中に溶解しているイオン成分やさまざまな分子を水分子と分離させることをいい、
通常、逆浸透は水の中からイオン成分などの不純分を取り除く目的で用いられますが、
ここでは、逆にイオン成分を得るために逆浸透を利用して濃縮したのです。
濃縮した弥富の水をイオン成分のない純水で薄めると、
水質は元の水に非常に近いものになり、
この水に入れられたコイは元気に泳ぎ回りました。
その後、2ヶ月余りの飼育も、順調でした。人工飼育水は成功だったのです。
次回に続きます。