「水は異なもの味なもの」第18回 生命を維持する水(2)
今回も、前回に引き続き生命を維持するための水についてお話しします。
人間は、食べ物を摂らなくても数日間は何とか生きられます。
しかし、水を切らしただけで脱水症状が起きて、死んでしまいます。
人間は体内の水分のうち、2%が失われると喉に渇きを覚え、
10%が失われると危機的状態に陥ります。20%を失えば、命を落とすことになります。
体内を循環し、媒体として働く水の量が少なくなることで、体温の調節や、
栄養、酸素を運ぶことができなくなるのです。
昔、製鉄所の溶鉱炉の前で働いていた人は、
食塩と水を摂りながら作業していたといわれています。
溶鉱炉の前は灼熱地獄のような環境だったため、彼らは大量の汗をかくとともに
塩分も失うため、塩と水を補給しなければならなかったのです。
このとき体の中では、汗をかくことで、体温を一定に保とうとする機能が
働いているのです。
近年は、夏の暑いときなどにこのような状況に陥りやすいといえます。
このようなときに、塩分を補給するためにスポーツドリンクや、
経口補水液を飲むのは、意味のあることです。
水や、塩分の入っていない飲料だけを大量に飲んでしまうと、
血中のナトリウム濃度が薄くなってしまう危険があるからです。
しかし、スポーツドリンクを習慣的に飲むことには、
少々気をつけなければなりません。なぜなら、スポーツドリンクには
多くの糖分や塩分が含まれており、別段汗をかいていないときには
糖分や塩分などを必要以上に摂取することになるからです。
これから、暑い季節になりますが、状況に合わせて何が必要か考えながら、
水分や、含まれる成分を有効利用できるとよいですね。
(終)