水は異なもの粋なもの 25回「水の物理的性質の利用(1)」
家電製品の中には、水の特徴をうまく利用しているものがあります。
今回は水の分子構造をうまく利用した、電子レンジの話をしたいと思います。
電子レンジはオーブンのようにヒーターで食品に直接熱を加えるものではありません。
レンジは電波の一種であるマイクロ波で食品を温めるのです。
電子レンジにはマグネトロンというものがついていて、
何十億万Hzもの電波を発射していて、1秒間に約25億万回もプラスマイナスが
変化します。この電波は金属にあたると反射し、紙や陶磁器は透過し、
水や水を含んだものには吸収される性質があります。
食品中の水に電波を当てると、折れ線型の水分子全体が激しく回転します。
そして、そのときの摩擦で熱が発生するのです。
もし、二酸化炭素のように分子の形が直線状だと、回転しても摩擦熱がでないので、
発熱しません。
もちろん、水の分子だけが加熱されるわけではありません。
食品中には水分子以外にも多くの種類の分子がありますが、
これらはあまり加熱効果が期待できません。
水分子はそれらに比べて、電波を当てられたときに動き回るのに
適した構造をしています。
次回も「水の物理的性質の利用(2)」として、電子レンジを例にご紹介します。