「水は異なもの味なもの」第15回 日本における水の状況 日本の地形と水
「湯水のように使う」ということわざが日本にあります。
このことわざは、アラブの国にもあるのですが、その意味は日本とは正反対です。
つまり、湯水のように「大事に」使うというのがアラブの国での意味です。
砂漠に住む人にとって水は貴重品なのです。
「湯水のように使う」のことわざがあるように、日本では比較的多くの雨が
降りますが、必ずしも水には恵まれていません。
世界平均の2倍近い降水量がある日本ですが、降水量を人口一人当たりに換算すると、
世界平均のおよそ5分の1以下になってしまうのです。
この量は先進諸国の中では少ない部類です。
日本が、降った雨を有効利用できない理由は何でしょうか。
その理由はいろいろ考えられますが、そのひとつには日本の地形的要因があります。
日本列島は細長いうえに、列島の中央部には急峻な山岳地帯があります。
大陸には大平原が広がっていますが、日本にそのような大平原はありません。
地面に降った雨や雪が集まってでき、やがて海に注いでゆく川は、
大平原ではゆったりと、山岳地帯では勢いよく流れます。
日本にある川は短くて勾配も非常に急であり、大陸を遥々と流れる河川に比べれば、
水はまるで滝のように流れ去ってしまうのです。
日本が水に恵まれないもう一つの理由については、次回の更新に続きます。