「水は異なもの味なもの」第10回 宇宙に行ったコイ(3)
濃縮水を輸送するときは、検疫を受ける必要があります。
そこで、もっと簡便な方法がないものかと考え、
現地のボトルウオーターを使ってコイの飼育ができないか検討しました。
大量のボトルウオーターでコイを飼育しようというものです。
ボトルウオーターは弥富の水に比較的近い水質だったため、
コイを異なる水に馴らすために時間をかけて徐々に水を入れ替える作業を慎重にすれば
問題がないことがわかり、この方法で検疫の問題は解決しました。
スペースシャトル打ち上げを迎えるにあたり、現地でのコイの飼育方針が決まり、
当社から現地に技術者を派遣しました。
1992年9月の打ち上げを前に、1月下旬から現地ではコイの飼育準備が始まりました。
コイの輸送のリハーサルを重ね、7月には本番用のコイがアメリカへ送られ、
その中の2匹がシャトルに搭乗して、無事に宇宙酔いの実験の大役を果たしたのです。